ええええええ、すっげー!
会場中がめちゃくちゃキレイ!
飾られた花も、テーブルに並ぶ食器も、
漂う空気までキレイじゃねーか!
だからその……すっげーキレイ!!
語彙力!
そのキレイ・キレイ・キレイが
何のために用意されたのか、
ちゃんとわかってるのかい?
アニバーサリーパーティー、ですよね。
いつも応援してくれる大切な人たちに
感謝する日。
今はその準備の真っ最中
まさに、それ!
ではここで景気づけに織巻くんによる
『不眠王からのご挨拶』をよろしく!
えっ!?
あー……『……目覚めろ、祝祭だ!』
ウェルカムカード、みんな書き終わったようだな。こうやって自分の思いを文章にして伝えるのは……悪くない
飾りつけもいいカンジだわ。
あとは可愛くリボンでも結んでやろうかね
フミさん、カイさん、ちょっといいですか。
パーティーで出す紅茶の味を確認してもらいたいんですけど。これ
おお、いいぜ。
ん……、華やかな香り、優しい甘み……
スイーツや軽食にもあいそうじゃねーか。
バッチリだな
会話の合間にホッと息をつけそうだ。
あと……このティーカップも良いものだな。これも美ツ騎が選んだのか?
玉阪で作られてるんですよ、それ。
数代前の玉阪比女彦が海外視察で見かけたティーカップを随分気に入ったそうで。
町に戻ってきてから玉阪の窯元に
『茶碗が作れるならティーカップも作れるだろう』って、無茶を言って頼んだのが始まりらしいです
あー、元は『玉阪歌劇学校』だった名前を
『ユニヴェール歌劇学校』に変えた人だな。
へぇ……そういうルーツもしっかりおさえた上で選んでるんだ。
へぇー、あのミツがねぇ。へぇー
……フミさん、カイさん、歩き出した子ども慈しむような目で僕を見ないでくれます?
なんだって、歩き出した子ども選手権?!
だったら僕も参加しようじゃないか!
まずは僕からいきまーす!
よちよちよちよちよち!
根地さん、あなたが出てくるとややこしくなるから、あっちにいってください!
……あれ、そういえば立花は?
すみませ~ん、誰かヘルプお願いしま~す!
あれ、希佐ちゃんどうしたの……って、
えっ!? バラ!?
顔が隠れるくらいたくさんのバラ!?
立花、こっち貸して、ほら。
おお~、すげぇなバラ!
めちゃくちゃキレイキレイキレイだわ。
しかも全部真っ白!
ロードナイトのみんなが、庭園のバラをわけてくれたんだ。アニバーサリーパーティーをこのバラで彩りなさい! って
押しつけられた、の間違いじゃないのか?
……なんて言えなくなるくらい綺麗なバラだな。しかも大量
実はこれだけじゃないんです。
パーティーゲートのそばにひとまず置いているんですけど……ほら、あそこに
おわ、マジですごい量!
えーっと、じゃあ、ジャック生で運ぶか。
鳳! バラを運ぶから手伝って……って、
おわっ、なんだよ話しかけるなって!?
カトラリーを美しく並べるので忙しい?
……カトラリーって、ナニ?
ナイフとか、フォークとか、スプーンとか、食事を口に運ぶための食器のことだよ。
バラは僕たちで運ぼうか。
でもすごいね希佐ちゃん、
あの量を一人で運んできたの?
ううん、ちょうど通りかかったオニキスの
みんなが助けてくれたんだ。
途中でアンバーの皆さんに会って、バラを
失いかけちゃったけど……なんとか無事で
な、何があったの?
あー、でも、アンバー生と出会ったら、
そういうことも起こりえる、のかな?
しかしこれだけ綺麗なら、それに見合った
扱いをしなければならないな。他クラスの
生徒達の気持ちもこもっている。
ロードナイト、オニキス、アンバー生たちの
アンバーの気持ちこもってますかね……!?
こもっていたとしても
種類が違うような……
びかーん!
思いついた! 思いついたよぉ!!
このバラを最も美しく見せる演出、
思いついちゃった!
さすが僕だね天才さん!
でもその前に皆の意見も聞いておこうか!
せっかくだから来てくれた人にプレゼントしたらいいんじゃないスか、このバラ。
いつも応援してくれてる人たちに、
一番良いものを渡したいっす
おお~っと、全くの同意見!
天才と天才だ!
正直、みんなそう思ってたと思うぞ
だったらみんなで大・天・才!
この綺麗なバラをいつも応援してくれる
人たちが包み込んでくれるんですね……
何よりも温かく、
何にも代えがたい大きな器だ
よし、時間も迫ってるし、
一気に仕上げていこーぜ!
来てくれる人たちを楽しませるのが
俺たちの仕事だ
皆と一緒に迎える
三回目のアニバーサリー……
みんながたくさんの夢を
描ける日にしよう!